【激ヤバ人間関係】「白鷺に紅の羽」感想‐探偵・癸生川凌介事件譚

癸生川凌介事件譚(きぶかわりょうすけじけんたん)シリーズの中でも、物語の切なさ、メインキャラクター白鷺州伊綱(さぎしまいづな)ちゃんの過去が知れることからファンが多い「白鷺に紅の羽(しらさぎにあかのはね)」。

どうでもいいけど癸生川シリーズ、難読漢字多すぎでは?w

私が癸生川シリーズの中で一番最初にプレイしたのも「白鷺に紅の羽」だった。

当時、ガラケーで高校生か大学生くらいの時にプレイしたけど、すげぇ感動して、そこから全シリーズプレイするようになった。

その後、携帯を買い替えてからもまたインストールして遊んでたな…

現在は、任天堂スイッチ版とSTEAM版が出てる。

GWに任天堂スイッチを買ったので、早速500円でスイッチ版を購入。

ネタバレなしの「白鷺に紅の羽」あらすじ

一言で言うと、「大人たちが自分の都合で子どもを産みまくって、子どもが大変な思いをして、挙句の果てには何人も人が死にました」という最悪なストーリー。

これは癸生川シリーズ全部に言えるんだけど、人間関係というか男女関係が激ヤバ。

殺人事件が起きて、命のやり取りが発生するレベルで個人や人間関係が歪んでる。

とはいえ、探偵助手として癸生川シリーズのレギュラーメンバーで登場する伊綱ちゃんの過去が知れるお話。

切なさという点ではシリーズ最高傑作と呼び声も高い作品なので、ぜひともプレイをおすすめする。

【ネタバレなし】「白鷺に紅の羽」のいいところポイント

切ない物語で、読み物としてゲームを楽しみたい人におすすめできる。

癸生川シリーズは、読者のものの価値観を問うてくることが多いけど、「白鷺に紅の羽」はそのなかでも死生観や親子関係を問われるゲームだった。

ゲームで描かれるその辺の価値観が合う合わないはあると思う。

実際、価値観が合わなくて押しつけがましさを感じる人もいる。

でも、普通に生きてたら考えることもなかったかもしれない死生観や親子関係について深く考えるきっかけたりうる本作は稀有な存在。

自分の価値観が浮き彫りにされるゲームだった。

具体的に私がどう感じたかは、あとでネタバレゾーンにて書いておく。

【ネタバレなし】「白鷺に紅の羽」注意ポイント

いかんせんこのゲーム、人間関係が複雑。

シリーズの中でも、とくに複雑だと思う。

物語の中で明かされず「結局この人だれ?」というのも発生する。

20歳前後の頃に2,3周してるはずなのに、誰が誰の子どもで、誰がどういう関係なのか、よく分からなかった。

そのため、もう1周おかわりしたw

おかわりの時は、メモしながらプレイしてようやく理解できた。それくらいに複雑。

ぶっちゃけ細かい人間関係が分からなくても、最後の真相解明パートだけ読んでおけばまあまあ雰囲気は分かるから、面倒ならひとまず普通にプレイしてみるのもあり。

この記事の後半で人間関係のネタバレも書いておくから、気になる人はこの記事を最後まで読んで。

それでは、ネタバレアリの感想パートに進む。

「白鷺に紅の羽」ネタバレありの感想

だれだれの子をはらませたとか、なんとか。

もう浮気とか不倫とか倫理観を無視した子作りが当たり前なんか?この世界線は?

これは真犯人も言ってましたが、本当に勝手に子どもを産むなという感じ。

各章ごとに振り返りつつ、最後に人間関係とこの物語最大の謎「楓は何者?」をまとめておいた。

「白鷺に紅の羽」序章

矢口さんと伊綱ちゃんが、伊綱ちゃんの故郷のA県に向かって一緒に電車に乗ってるところから物語スタート。

最終的には、この序章が物語のラストといえるパート。

私は「白鷺に紅の羽」からプレイしたので、伊綱ちゃんが「もう結婚してますよ」発言をした時も「そうなんだ」くらいにしか思ってなかったけど、シリーズを最初からプレイしてる人からしたら、伊綱ちゃんが結婚してたなんて一大スクープ。

即落ち2コマかよw

伊綱ちゃんの故郷の村につくと「藤沢珠恵」なる女性と遭遇。

なんかもうこの人、怪しい。

矢口さんが気を使って「ゆっくり会話してて」って離れるんだけど、さすが矢口さん。気が利く。

珠恵が自分のおなかの中の子に対して「伊綱って名前にしちゃおうかしら」って言うんだけど、この発言はやべぇだろw

ゲーム内で明かされるけど、「伊綱」っていう名前が付けられる女は、近親相姦で生まされがちな女やろ。ちょっといわくつきな名前じゃなかったんか?

珠恵さんもそこまで考えてなくて、伊綱ちゃんが可愛いから、それにあやかってっていう特に他意のない発言だったかもしれないけど、ここは2周目おかわりプレイの時に「ブッフェェ!」ってなった。

序章わかったことまとめ

  • 伊綱ちゃんは既婚者
  • 伊綱ちゃんは23歳
  • 伊綱ちゃんと藤沢珠恵なる人物は知り合い




1章「記憶喪失楓さん」誰なの問題

推理物三種の神器のひとつ、「記憶喪失」きました。

真犯人も行ってたけど、くちばし山で倒れてた楓さんを伊綱ちゃんが見つけたのは確かに不審。

後で「探し物をしていた」って言ってたけど、何を探してたの?結局明かされてないし、ここは謎。

ただ、このゲームはこういう細かいところを気にせず、物語の本筋となるストーリーを楽しむものだからスルー。

あと、ふと思ったんだけど、龍希(りゅうき)さんって伊綱ちゃんに「もう少し静かに」とか、楓さんの名前を決めるときとか「そんな勝手に」とか、微妙に当たりきつくない?w

お兄ちゃんだから?(超絶なネタバレ

楓さんと伊綱ちゃんが似てる…

そりゃ親子だから(超絶なネタバレ2

結局、楓=藤沢珠恵=伊綱ちゃんの母=龍希の母だから、ここはある意味匂わせだったね。

1章わかったことまとめ

  • くちばし山の崖の下で倒れていた楓を伊綱ちゃんが発見。
  • 楓は診療所で医者の龍希の手当てを受ける
  • 百白村(ももしろむら)は戦国大名が拓いたもの。大名に仕えていた薬師である大鳳院(たいほういん)が今の百白村を牛耳ってる。
  • 大鳳院家は薬剤調合の技術で事業を興して、オオトリ製薬という全国的に有名な製薬会社に発展。
  • 白鷺州(さぎしま)家は大鳳院家の分家。
  • 白鷺州家は重機関連のシラサギグループとして発展。
  • 大鳳院家と白鷺州家は元々喧嘩別れしてて、ずっと仲が悪い。
  • 不況のために、大鳳院家と白鷺州家の和解が進んで会社合併の話も出てる。




2章「プレイヤーを襲う第1の関門」

2章は、どこに行って誰とどれだけ話をすればいいのかわからなくて、何度も同じ場所で同じ話しちゃいがちw

ここは以下の流れていくとスムーズと思われる。

村の中心部→くちばし山→百白駅→白鷺州邸→鳥歌亭

2章は大鳳院家と白鷺州家のこと、登場人物に関する情報が多いので、しっかりプレイしたい人はメモを忘れずに。

2章わかったことまとめ

  • 楓さんは駅で白鷺州邸への行き方を駅員さんに聞いていた。
  • でも楓さんは白鷺州邸には来てなかった。
  • 涼二さんのシャツのボタンがめっちゃ開いてる←
  • 大鳳院家の現在の当主の兼正(かねまさ:伊綱ちゃんのおじいちゃん)は76歳で、容体がよくない、死にそう。
  • 伊綱ちゃんの父親の來興(らいこう)は1週間前に事故死。
  • 來興には兄弟はいないし、配偶者もいないしで相続問題で大鳳院家はもめてる。
  • 百白村の宿「鳥歌亭」の女将から楓は来てないと情報をゲット。
  • 鳥歌亭で、「九宝沙綾(くほうさあや)」なる人物が予約してたけど来なかった。
  • 女将さんは楓さんの声と電話で予約した沙綾の声は似てない気がすると発言。
  • 大鳳院家には陸辺(りくのべ)という顧問弁護士がいる。
  • 楓さんが自称親族を名乗って、大鳳院家の遺産目当ての人物なのではないかと疑惑が浮上。
  • 死にかけの兼正おじいが脱走。

そう言えば、結局來興の事故死は本当に事故なのかな?

ゲーム内で特に名言もされてないけど、殺されたわけじゃないから本当に事故死なんかな。それともやっぱり龍希が殺しておいたんかな。

もし事故死だとしたら、ミラクルタイミングの事故死じゃん…

これはネタバレ発言ですけど、そう考えると來興はおそらく兼正の言いつけでなんか近親相姦させられるし、事故死するしで、來興は來興である意味被害者だな。

それと、九宝沙綾、お前はちゃんと予約した日に宿に行きなさいw

1日遅れ?で来るけど、予約の日を勘違いしてたんか?ウッカリさんかよw

後で真相解明シーンでも思ったけど、このゲームは登場人物が結構ウッカリさん。



3章「重要な人間関係が明かされる」

3章は門生佐和子(大鳳院家の家政婦)と藤次郎との会話がミソ。

この辺の会話をしっかり理解しておかないと、一気に混乱する。私はした。

特に親子関係がずぶずぶだから、若紗とか松子とかどれが誰の母親か分からなくなる。

3章わかったことまとめ

  • 門生佐和子(かどうさわこ)は大鳳院家の家政婦。
  • 門生は大鳳院家で30年働いてて、母親のいない伊綱ちゃんの母親代わりだった。
  • 診療所の院長は白鷺州藤次郎。
  • 藤次郎は京蔵(涼二さんのパパ)の父親の兄(もう複雑w
  • 龍希と涼二の父親は白鷺州京蔵。
  • 京蔵はシラサギグループの全権を握ってる。
  • 京蔵は金遣い荒いし女好きで金使いまくり(最低だな
  • 京蔵は温室育ちで人に指図されるのが嫌いで、経営が悪化しても担当者をなじってクビに(最低だな
  • 涼二の母親は松子で、VHL病だった。
  • 松子が死にかけになると京蔵もめっちゃお金使って病院に移送するとかしたけど半年前に死亡。
  • 龍希は松子になついていて、医者なのに何もできない自分を悔しく思っていた(のちの犯行の動機につながる
  • 龍希は伊綱の婚約者。
  • 大鳳院と白鷺州の合併は京蔵が昔の口約束を引っ張り出して兼正に持ち掛けた。
  • なぜか兼正も了承して、両家の合併が進んだ(あとでわかるけど、飯綱使いの言い伝えを妄信していた兼正は、父親違いの兄弟である伊綱と龍希を近親相姦させて飯綱使いの血が濃い子を産ませようとしてた…マジで最悪だな、無責任に子どもを産むとかってレベルじゃない
  • 伊綱が楓に名探偵にあこがれていることを話す。
  • 伊綱が「姉がいれば婚約も相続もそっちに行ったのにな」と愚痴をこぼす。




4章「内容が薄くてむしろなんか安心w」

4章はなんていうかすっごいあっさり終わったね。

伊綱ちゃんと龍希との会話で終了する。

何もなさ過ぎて、私のプレイメモにも何も書いてないw



5章「話を複雑にする飯綱使い」

5章では「飯綱使い(いづなつかい)」という新たな設定が登場してプレイヤーを混乱させる。

5章では、トンデモねぇ大人たちのやり口がこれでもかと公開される。

まともな大人がいないのか…この作品は…w

なんて事なの!

「白鷺は赤の羽」における飯綱使いとは

飯綱使いだけど、これは大鳳院兼正がめっちゃ信じてた言い伝え。

飯綱使いとは、大鳳院家において薬剤調合の素質がある者のこと。

大鳳院家では長子は女ばっかりだけど、たまに男が長子のことがある。

その男の長女には飯綱使いの血が濃く表れるといわれていた。

飯綱使いの血が濃く表れるこの長女には代々「伊綱」という名前を付けていた。

つまり「女ばっかり生まれる大鳳院家だけど、珍しく男の長男の來興が生まれたからその娘には言い伝え通り「伊綱」って名前つけたよ」ってことか。

なお後でわかる設定だけど、この「伊綱」の血をより濃くするには、近親相姦が必要。

ぶっちゃけ近親相姦系はコンプラ系で禁止してる会社とか出版社もあるけど、このゲームは大丈夫だったんか?おいおい…

5章では、楓さんが再び涼二さんと会話する。

選択肢シーンがあるけど、目線をそらすと「そうですよね」みたいな反応をして、目線を合わせると「さすがですね」って言うんじゃなかったかな(うろ覚え

5章わかったことまとめ

  • 大鳳院兼正は飯綱使いの言い伝えをめっちゃ信じ込んでいる。
  • 白鷺州の龍希と涼二は血がつながっていない。
  • 涼二の母親の松子は資産家の娘。
  • 京蔵は松子の財産目当てで松子と結婚(最低だな
  • 松子はVHL病だった。
  • 病気で結婚も出産もあきらめていた松子はどういう形であれ、自分を受け入れてくれた京蔵に愛を捧げた。
  • でも跡取りが欲しい京蔵はどっかから龍希(3歳)を連れてきて養子に(最低だな
  • 龍希は京蔵の隠し子ではないかとのうわさ(京蔵と楓(珠恵)の間の子どもと思われる
  • その頃、松子の妊娠が発覚してそれが涼二。
  • 松子は龍希に気付かってよく面倒を見ていた。
  • 涼二はVHL(50%の確率で遺伝する)で半年の命。
  • 京蔵は伊綱ちゃんに対して「お前が龍希と結婚して合併の話を進めないなら、うちの一家は破産して全員首をくくる」とか脅してる(本当に最低だなお前




6章「お前は死ぬと思ったよ」

大体みんな分かってたと思うけど、兼正が遺体で発見される。

このじじいは死ぬと思ってたし、いい死に方もしないと思ってた。

問題は伊綱が兼正と一緒にいるところ(真偽不明)を見られていたことから伊綱ちゃんが疑われる展開。

後でわかるけど、この目撃者っていうのが龍希なんだよね。

もう名前も忘れたけど、なんとかっていう警部がその証言から伊綱ちゃんを犯人扱いするんだけど、安直すぎんか?

龍希の証言が本当かどうか怪しいじゃん!

こいつが犯人だったら、伊綱ちゃんに罪を着せるために嘘を言ってる可能性も十分あるし、実際そいつが犯人やぞw

これ、本当だったらさっさと兼正を引き上げて、生死を確認して蘇生措置すべきシーンだと思うんだよね。

そもそも本物の死体かも怪しいし。

医者の龍希もいるのに誰も引き上げないの疑問。

でも兼正、お前は誰からも蘇生措置をしてもらえないような男ともいえる(コラ

それと尚助のクズっぷり見もの。

クズ~!!

クズ決定~!!!!

兼正の死体をバックにこの発言をしてるの、マジで芸術点が高い。

そして…

絶対こいつが犯人じゃんw

高校生くらいの時は恋愛フラグなのかと思ってたけど、これは全然違う意味合いをもってたんだなってこの歳になって気付いたわ。

そして着実にクズポイントを稼ぐ尚助。

でもほかの人間のクズっぷりを思うと、尚助はまだましな気さえする。

そしてクズの帝王、京蔵がここで登場。

6章わかったことまとめ

  • 尚助は遺産目当てじじい。
  • 兼正殺害の疑いが伊綱ちゃんにかけられる。
  • 突然現れた謎の女、九宝沙綾(くほうさあや)は戸籍謄本をもって伊綱ちゃんの姉を名乗った。
  • 沙綾がもってきた戸籍謄本はマジで本物。
  • 伊綱ちゃんは來興が家政婦を孕ませて産ませた隠し子。
  • 沙綾こそ來興と若紗の間に生まれた本当の第1子で本当の「伊綱」。
  • 沙綾は九宝家に引き取られていた。
  • つまり、遺産相続権は沙綾(本当の伊綱)にある。

そうこうしてたら沙綾が崖から落ちて死んでて、そこに伊綱ちゃんがいるという最悪の展開。



7章「癸生川の登場」

7章は真相が明かされる章です。

色々あったけど、ある意味7章だけ読んでおけば話の雰囲気はつかめる。

真相は以下のとおり。

  • 來興の妻若紗の謄本によると、若紗は別家から嫁いできたと書かれている。
  • 実は兼正が改ざんさせたもので、本当は若紗は來興の母ナズナの近い親類(つまりは來興と若紗は近親相姦状態
  • 近親相姦状態にすると飯綱使いの素質がさらに濃く表れるためにやった。
  • 近親相姦状態だから奇形児が生まれる確率がめっちゃ高い。
  • 不安を抱えながら9か月をすごして、子どもが無事に生まれたことに若紗は心から安心。
  • そんな子を兼正の思い通りに育てるのは嫌だった若紗は子ども(沙綾)を施設に預けた。
  • 兼正と若紗は湖で言い合いになり、兼正は崖から若紗を突き落とした(若紗はこのことを予期して子どもを施設に預けてたっぽい)
  • 若紗は崖の途中の横穴に引っ掛かったけど、ケガして出られずそのまま死蝋になる。
  • 横穴は先代の伊綱が作った研究所。
  • 先代伊綱が作ったといわれる万能薬の材料は死蝋。
  • 兼正はこの横穴と若紗の遺体を発見。
  • 兼正は飯綱使いと万能薬にめっちゃ興味があったから、材料となる死蝋まであるしで研究スタート。
  • 同様に万能薬がどうしても欲しい龍希が兼正の研究成果を盗むために兼正を殺害。
  • 龍希がウッカリ回収し忘れた縄梯子で沙綾が横穴に来ちゃう。
  • 自分の実の母の遺体を切り刻んでる兄(龍希)を見てショックでウッカリ落下して死亡(謎①
  • で、この真相を癸生川と涼二が楓に話していたらウッカリ龍希にも聞かれてて、龍希脱走。

どいつもこいつもウッカリさんかよ!www

あと、謎①だけど、別に龍希は沙綾の兄ではなくない?

京蔵と楓の間にできた隠し子が龍希、來興と若紗の間にできた子が沙綾なわけだから、ここは龍希と沙綾は関係ないのでは?

私がなんか読み違えたかな、よく分からん。

で、あのエンディング。

龍希べつに思い上がりではない説

最後、推理物でよくある「犯人に対して「なんでこんなことを!」って言って犯人が語りだすシーン」があって、ここのところの話ちょっとさせて。

本編では明示されてないけど、藤沢珠恵=楓=龍希の生みの親母=伊綱の生みの親と思われ。

龍希の話によると

  • 龍希の実の母親は借金のカタで奉公に来ていた年端も行かない娘
  • 子どもの自分だけ白鷺州家に引き取られて母親は追放
  • どうやらその後、母は大鳳院家に雇われたらしい
  • 実の母親は結局龍希の前に姿を現さなかった

とのこと。

本当にそう。

それとなにより、龍希の生い立ちを考えると、彼がこういうのはもっともなのよ。

このあとで、龍希は「辛い思いをするくらいなら生まれてこなかった方がいい」みたいな考えをもってて、たいして涼二は「50%の確率で遺伝するVHL病の母親から生まれたとしても、生まれてこれないよりずっといい」っていう考え。

涼二は龍希の考え方に対して「思い上がり」とかいうけど、そこまで言わなくてもよくない?

龍希の思ってる考えや感じてる感情はそこまで間違ってないと思う。

初めてプレイした20歳前後頃は、涼二の考えがカッコいいと思った。

当時は思春期?で親に対して「こんな思いをするくらいなら、こんな仕打ちをされるくらいなら生まれない方がよかった」とかそういう感情もあって「思い上がり」って言われて、ちょっと考えなおす部分もあった。

でも、この歳になって改めて考えると、やっぱ親の責任はあるよ。

楓さんがこのあと、「禁忌の子でも自分で守ろうとした若紗さん、歓迎されない子であっても産むことを望んだ龍希さん、伊綱さんの母親(自分のこと)も、捨てるつもりで生んだんじゃない。」みたいなこと言うけど、それこそ思い上がりだと思うのよ。

楓=龍希と伊綱の母親には事情もあって、捨てるつもりで生んだんじゃないって思ってても、現実に龍希はそうは思ってないのよ。

本当にそう。

楓がどんなに龍希のことを思ってても、現実には医者でありながら死蝋状態の死体を切り刻んで万能薬をつくり出そうとするくらいに龍希はおかしくなっちまったんだよ(白目

生まれたらそれでハッピーとか、無責任に子どもを産むなとか、生まれてこなければよかったとか。

なにがが正解とかじゃないの。

どっちが正しいとかじゃなくて、それぞれの価値観や感情がすれ違ってるだけなの。

だからこそ、この物語は切ないし、何よりプレイヤーの価値観を問うてると思った。

死生観とか親と子の関係とか、結婚・出産・育児とか。

でもな、龍希。

お前、山に火を放ってはいけない。

クライマックスの涼二・伊綱シーン

ここも昔は感動的だったんだけど、心が汚れてしまった大人になって見方がちょっと変わった。

死んでいく人が「強く生きろ」的なことを言うのはある意味呪いの部分があると思う。

こういわれたら「強く生きなきゃ」みたいな気持ちが常に働いて、それがいい方向にその人を導けばいいんだけど、追いつめる可能性もあると思った。

死ぬ人にそこまで考えろっていうのも酷な話だけど、単に美談として読み取るには私の心がけがれてしまったw

この辺の話は「海楼館殺人事件」の感想でも書いてる。

【ネタバレ含む感想】「海楼館殺人事件」探偵・癸生川凌介事件譚


「白鷺に紅の羽」の楓は誰?本名は?

もう何度か書いちゃったけど、楓=藤沢珠恵(本名)=龍希の生みの母親=伊綱ちゃんの生みの母親ってことでいいんだよね?

白鷺州家に借金のカタに連れられてきて奉公していた楓と京蔵の間の子が龍希。

その後、大鳳院家に雇われた楓と來興の間の隠し子が伊綱ちゃん。

いや、トンデモねぇな、百白村。

楓さんにも妊娠せざるを得ない事情とか、中絶するのも難しい事情とかもあったんだろうけど、あそこは龍希にきつく当たるところでもなかったと思うんだよな…やっぱ。

涼二さんも、思い上がりって言ってたけど、あのシーンでは龍希は伊綱ちゃんにナイフを突きつけてたから、逆上させてやけになった龍希が伊綱ちゃんを刺さないとも限らないし危険だったよね。

そして最大の謎なんだけど、楓さんは父親違いの兄弟である伊綱ちゃんと龍希の結婚を止めるために百白村に来たらしいけど、この人なんでガケから落ちたの?

とにかく、複雑な人間関係と、重厚なストーリの本作はプレイする人に何か訴えかけてくるものがあるのは間違いない。

多くのものがすれ違って、大切な人ほど離れて行ってしまう切なさとか、グッとくるものがある。

石山先生とG-MODEさんに感謝。