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独断と偏見による探偵・癸生川凌介事件譚「海楼館殺人事件」の感想を書いていきます。
【ネタバレなしのザックリあらすじ】
すんげえ怪しい海楼館っていう建物があって、すんごい怪しい招待状でやたら怪しい人たちが集められて人が死にまくる。
個人的にある意味シリーズ随一の壮大なスケールの話だった。
探偵・癸生川凌介事件譚の一番最初の作品、「仮面幻想殺人事件」の感想はこちら。
もくじ
矢口さんとの出会い
いきなりシリーズのネタバレをするんですけど、今後も癸生川シリーズに出てくる矢口さんが「海楼館殺人事件」で初登場。
出会って速攻、伊綱ちゃんが「出会って間もない人にこんなこと言うの失礼なんですけど」と前置きしながらお決まりの「前髪そろってますよ」発言してて爆笑。
矢口さんもお決まりの「そろえてるのよ」の返し。
冒頭のエレベーター問題
「上がる時には下がり、下がる時には上がる不思議な不思議なエレベータ。5人乗ったら一杯なのに、上りたい人、6人います。」っていう冒頭のエレベーター問題。
これは結局なんだったんだろうね。
エレベーターじゃなくて建物が動くって思わせるためのミスリードだったのかな。
実際に、伊綱ちゃんがハマったしw
方角の話が出てきたり、エレベーターがめっちゃ遅いとか、ミスリードするための材料がめっちゃありましたね、今回。
結局なんだったのかよく分からないやつ
ミスリードといえば、海楼館で3階から2階に移動する時に伊綱ちゃんが「あれ?」みたいになってたのなんだったんだろう。
終盤で馬込っちが死んじゃった後あたりに萩中が何かに気付いたような様子を見せたのもあったけど、あれは結局謎だな。
思わせぶりにしただけの演出なのか?
馬込っち伊綱ちゃん好きなのか説
館内を案内してる時、馬込さんが「生王様」とかみんなを苗字に様をつけて読んでるのに、なんでか伊綱ちゃんだけ「伊綱様」って呼んでてウケたww
馬込っち、伊綱ちゃんのことお気に入りかよ。
自分の娘に似てたのかな?
でも年齢的に考えると、娘より伊綱ちゃんの方が歳が結構上だと思うんだよね。
やっぱり馬込っちは伊綱ちゃんのことがお気に入りなのか?
後どうでもいいけど、馬込っちは30~40歳くらいらしいけど、その割には外見が老けてるよね(失礼
厳しいのか優しいのかわからない伊綱ちゃん問題
今回一番ビビったのが、大森さんに対する伊綱ちゃんの接し方。
嶺町さんと大森さんは付き合ってたのに、嶺町さんが死んじゃって大森さんは大ショックっていうあのシーン。
嶺町さんのお部屋で伊綱ちゃんと大森さんが2人になったアレ。
第1の殺人のあと、大森さんは自分が偽の刑事だってバレたくなくて、外部と連絡が取れないように通信装置をぶっ壊したじゃん。
そのことについて伊綱ちゃんが「最初の事件の時にお前が通信装置をぶっ壊してなければ外部と連絡が取れて、嶺町さんは死ななかったかもしれないのにね」みたいなこと言うじゃん。
すげぇ辛辣www
しかも2人っきりの状態だから、うっかり大森さんが逆上してたりしたら伊綱ちゃんの身も危なかったシーン。
伊綱ちゃんめっちゃあおるじゃんw
流れ的には
- 第1の事件、多摩ヶ原おじいの死体が発見される
- 伊綱ちゃん「大森さん、警察に連絡を!」
- 大森さん(やっべぇ!偽の刑事だってバレるじゃん!)
- 大森さん(よっしゃ、通信装置破壊しておこう)
- 外部と連絡が取れなくなり、海楼館が完全に海上の孤島に
- 嶺町さん殺害事件発生
確かに第1の事件が発生した後に、外部と連絡が取れてたらすぐに迎えの船がきて、嶺町さんは死ななかったかもしれない。
でも多分、助けの船が来たとしてもその前に萩中は嶺町さんを殺してたと思うんだよね。
萩中の最大の目的は、遺産相続権をもった嶺町さんの殺害だから。
でも伊綱ちゃん、結構な圧で大森さんを刺してたよねw
そのあと、大森さんも「お前探偵なんだから犯人見つけてくれよ」みたいに伊綱ちゃんにお願いするんだけど、自分が大森さんの立場だったらそれどころじゃないな。
今まさに自分の心に特大級のヤリをぶっさしてきた人にそんなお願いできない。
ラストでなぜか優しい伊綱ちゃん
まあでも、伊綱ちゃんは「死者を出したくない」という思いが強かったっぽいから、嶺町さんが死んだことをすごく残念に思っていて、「お前が通信装置をぶっ壊してなければ助かったかもしれない命なのに」って悔しさを込めて大森さんにヤリをぶっさした可能性はあると思うの。
でも、急にラストで優しいじゃんwww
大事な人を失った悲しみ云々のところ。
ちょっと前には「お前のせいで嶺町さん死んじゃったじゃん(意訳)」って言ってたのにw
大人になって気付くこと
海楼館殺人事件を一番最初にプレイしたのは高校生か大学生くらいの時だったと思うんだけど、伊綱ちゃんがラストに大森さんに言う言葉に当時は感動したのよ。
「身近な人が死んだショックは、死んでいった人が「このショックを乗り越えて強くなれ」って言ってくれてるんだ」みたいな話。
私もすっかりいい年になって、「やっぱ違うかも」って思った。
もちろん、大切な人を失ったことの喪失感から生まれる強さはあると思うけど、私は無理w
私
大切な人に死なれないと強くなれない自分なんて、よっぽど受け入れられない。
大切な人が生きていてくれるなら、一生強くなんてなれなくていいとすら思う。
それに自分が死ぬ側だったとして、「ワシが死んでも強く生きるんだ」とは思うけど、別に死んでも死ななくても大切な人には強く生きて欲しい。
「辛い思いをすることで強くなれる」とか「困難を乗り越えていくことに価値がある」みたいな風潮が世間一般としてあると思うんですけど、別にそうでもなくない?って歳をとってから思うようになった。
そういう体育会系の発想はむしろうつ病とか燃え尽きを招くリスクが高い。
楽しい経験や誰かとの幸福な時間があることで得られる強さもあると思う。
みんながみんな伊綱ちゃんみたいに大切な人が死んだことをプラスに考えて強く生きていけるわけじゃないし。
どうしても避けられない「大切な人の死」に対する意味付けとして、伊綱ちゃんみたいな考え方をすることが大事だっていう面は確かにあると思うけど、それがすべてじゃないなと今回思った。
ここは歳をとってちょっと見方が変わったシーンですね。
感動的なシーンではあるんですけど、私も歳をとったな…
幸せかどうかなんて捉え方次第だよ
一方でこの文章は、初プレイの20歳前後のころも、そこから歳をとった今も、いいセリフだなって思ってる。
20前後の頃は、世間一般でいわれるような「いい学校に入っていいところに就職して」っていうそれこそテンプレート的なものが幸せだって、私自身思ってた。
でも「幸せかどうかなんて捉え方次第だよ」っていう文章を見て、「もしかしたら私が「幸せ」って思ってることは間違ってるかもしれない。「不幸」だと思ってることもそうじゃないかもしれない可能性がある」って初めて気付いた。
こういう考え方は学校や自分の親からは教わることのないもので、すごく衝撃的だった。
自分の幸せはちゃんと自分の物差しで幸せかどうかを判断しようと思ったし、人の幸不幸も私の見方と本人の見方は違うこともあるし、自分の物差しで測らないようにしようって思った。
自分の状況に対しても、捉え方次第で幸不幸はコントロールできる感覚が生まれた。
いちいち自分は不幸だとか一喜一憂して振り回される感覚が少し和らいだ気がする。
いまでも、この考え方は大事だと思ってる。
「幸せかどうかなんて捉え方次第だよ」は今も心に深く刻まれてる名言。
あまりに壮大なトリック
これはトリックにかかわるので「海楼館殺人事件」の盛大なネタバレ。
いや結局、伊綱ちゃんが推理していたようなエレベーターとか隠し扉トリックはなかったから何も壮大じゃないだろって言われそうなんだけど、それを逆手にとって実はマスターキーで出入りして人をぶっ殺してましたって、ある意味壮大だよwww
エレベータートリックについて癸生川が最後に「さすがにそんなの無理だよ」って言ってて、草生えたよwwww
いやみんな思ってたけど、これゲームだしあるかと思ったよ。
急になんか現実的なこと言うじゃん。
ある意味壮大なスケールの話だよw
マスターキー最強説
これはトリックとか関係なく思ってたんだけど、個室にも出入りできるマスターキーを馬込っちがもってたら、 みんなおちおち寝てられなくない?
複数の管理人がいるとかじゃなくて、馬込っち1人が管理してるわけで、この人が寝てる間に部屋に来たらどうしようって不安だよ。
あまりにもマスターキー怖すぎって思ってたけど、まさかマスターキーが本当に最強で普通にこれを使って人の部屋入ってぶっ殺しまくってたなんて驚き。
「海楼館殺人事件」ネタバレまとめ
最後に「海楼館殺人事件」の内容をまとめてみた。
- 一番最初に死んでいたおじいは本物の多摩ヶ原氏(癸生川は知り合いのため本物を知っている
- 萩中と嶺町は多摩ヶ原おじいの隠し子(仮面幻想といい、この作品男女関係が本当にただれてるw安易に子どもをつくるんじゃない
- どうしてか多摩ヶ原は嶺町のみを認知して財産を相続させようとした
- 萩中が財産を自分のものにしたくて多摩ヶ原と嶺町を殺害
- なんか巻き添えを食らって池上さんと馬込っちも殺された
こうやって見ると、とんでもない事件だな。
金目当てで人を殺し過ぎ。
でも世の中そんなもんかもな。
犯行の流れ
- もともと多摩ヶ原は自分の偽の死体を準備して、伊綱ちゃんが推理したようなトリックを思いつかせるイベントを企画してた。
- 萩中は、イベントより前にマスターキーを盗んで、本物の多摩ヶ原を殺害、偽の死体を本物にすり替える。
- イベントの指示書に書かれていた通りに、馬込はみんなが自室に荷物を置いて戻ってくる前に隠してた死体を部屋にぶち込む(謎1
- みんなで多摩ヶ原の死体を発見。
- 萩中は隙を見て嶺町さんの部屋にマスターキーで侵入して嶺町さんを殺害。
- 池上氏も殺害(謎2
- 馬込を真犯人に仕立て上げるための偽ノートをお披露目。
- 馬込っちを殺害、馬込っちに罪をなすりつける
最後の2つは順番が前後するかも。馬込っちは先に殺してた可能性もある。
謎1:馬込が死体を転がすの無理では説
みんなが3階ロビーでいったん解散して部屋に荷物を置いて、戻ってくるまでの間に馬込っちは隠してた死体を部屋に転がしたっていう話だけど、無理じゃない?
時間にして9分。
「5分もあればできるだろう」って癸生川は言ってるけど、無理じゃない?
老人とはいえ、人の体を動かすのは大変だよ。
さらに1フロア移動するのに1分くらいかかるエレベーターで往復するわけ。
途中の移動時間とかもあるから、9分じゃ無理だと思うのよ。
謎2:池上さんはなんで死んだの?
私がちゃんと読んでないだけでどっかで書いてあったかも。
池上さんがなんで萩中に殺されたかが謎。
これは偽のノートに書かれてた通り、池上さんに犯行シーンを見られたからなのかな?
ここは普通に本当のことを書いたのかな?
そうなると、池上さんの殺害は想定外だったはず。
もし、お気持ち長文壮大ストーリーノートを事前に用意してたとしたら、池上さんの殺害理由はなかったわけ。
つけたしが必要。
つまりは、萩中は結構な短時間であのお気持ち長文偽多摩ヶ原ストーリーノートをつくったってことになるじゃん。
萩中、創作の才能あるかもしれんな。

